みずうみ2023

暮らしの中で出会った言葉や考えの記録

thought

秋深し、「思いがけず利他」

このところ、朝起きるのは毎日4時台。まだ外は暗い。 よく起き抜けに近所を寝巻きのままふらっと一周歩くのだけど、今朝は家の外の通りに出たら、まだ明るさを残した大きな満月が低い位置にあり、正面から目が合った。 寒いし、さすがに早すぎたかなと思いな…

心の棚おろし

昨日は風が強く吹いて本当に爽やかな日だった。 朝からある人のセッションを受けるために車で30分ほど西へ走り、昼までじっくりと話を聞いていただいた。 会ってすぐに、別になんということもないところでぶわっと涙が吹き出てしまって少し慌てたものの、そ…

「月」

2023年/監督:石井裕也/144分/2023年10月13日〜公開 津久井やまゆり園障害者施設殺傷事件(相模原事件)から9年が経ったけれど、事件をこの社会がどう考え、我々はどう歩みを進めていけば良いのかという総括には、いまだ程遠い段階にあると感じる。 この…

差し入れ準備中

ここ数日、ものを買い回っている。 急に夏が終わって秋になって、パリで暮らす息子氏に差し入れをしよう、と急に思い立つ。 本人に訊くと、ここぞとばかりにリクエストがあって、揃えるのがなかなか大変なことに。 ユニクロの超極暖ヒートテックなどの冬物衣…

「BEEF 〜逆上〜」

2023年アメリカ/原題:BEEF/監督:ジェイク・シュライアー、HIKARI、イ・サンジン/10エピソード 各話約34分/2023年4月6日〜Netflixにて配信 「パラサイト」「エブエブ」を経て、今ではもう、いぜんのようなアジア人のステレオタイプな描写からは完全に脱…

何も起こってないみたい

50万人以上の声を無視して強行したインボイスって、本当に今日から始まったんだろうか? ニュースではろくに報じられてこなかったし、今日もただただ普通の日曜日で、まるで何も起こっていないみたいに静か。ひとつも実感が湧かない。 先日行った日帰り温泉…

病み上がり

朝ごみ捨てに行ったら、目の前には雲ひとつない青空、爽やかな風が体を吹き抜けて、思わず笑顔になる。 私は、病み上がり。 だから余計に世界がカラフルに見える。 数日前、給湯器が突然、何の前触れもなく壊れて水しか出なくなった。 真冬でなくて良かった…

ジャニーズ事件が浮き彫りにしたもの②

件のBBCのドキュメンタリー「J-POPの捕食者:秘められたスキャンダル」の主旨は、ジャニー喜多川が本当に子供を性虐待していたのかどうか、ではない。 それは自明のこととしてその上で、記者の関心は一貫している。 この「公然の秘密」について、被害者をは…

ジャニーズ事件が浮き彫りにしたこと①

実の妹とそのひとり娘の姪っ子(大学生)が、年季の入ったジャニオタである。 春に帰省して会った時には、例の英BBCがジャニー喜多川による性犯罪を告発したドキュメンタリーがすでに放映され、世間的に物議を醸していたので、雑談の折にこのことをどう思っ…

参った

Netflixの「ブラック・ミラー」というディストピアSFドラマを見ながら洗濯物を畳んでいたら、家の電話が鳴って、隣の部屋にいた夫氏がそれを取ってくれたな、と思いながらながら家事を続けていたんだけど、電話を切って出てきた夫氏の話を聞いて、びっくりし…

知的とは何か

我が家は常に2つか3つのサブスクを契約していて、そんな中で生まれ育った末っ子は常に無数のコンテンツに囲まれている。 YouTubeの子供向け動画も日々産み出され、どういうビジネスモデルになってるか分からぬが結構なハイスペックのクレイアニメーションや…

闘争の中にある希望、和を以って尊しと為す

前記事に関連して、希望について。 明け方、再び寝入った末っ子の隣で、映画監督ケン・ローチのエッセイを読んでいたら、はっとさせられる文章があった。 私たちの希望は、人々の正義と、搾取と圧政に対する抵抗の歴史に基づいています。 人々は闘争を通じて…

台風、お金、坂口恭平

台風が近づいているらしい。 不謹慎だが子供の頃から台風好きである。 嵐の予感を含んで空気がむんむんしているさま。 妖しい色の空をすごい勢いで流れていく雲。 全ての動きを止めてただ観念するしかないような雨風。 台風の目に入った時の真空のような静け…

「さらば、わが愛 覇王別姫」

1993年中国・香港・台湾合作/原題:覇王別姫 Farewell My Concubine/監督:チェン・カイコー/172分/2023年7月28日〜4Kリマスター版公開 最後に観たのがいつだったのか思い出せないくらいだけれど、忘れっぽい自分が多くのシーンのビジュアルを克明に覚え…

心の自由、「覇王別姫」

夏風邪で咳がひどかったこともあって、昨日は予定を取りやめて、日がなキーボードをばちばち打って自分なりに了解しておきたい物事を一気にアウトプットしてしまった。 日頃から節操のない乱読だけれど、時々丸ごとばりばり貪り食べるみたいにして読む本があ…

性暴力についての覚書き⑦(なぜ性暴力はこれほど人を深く損なうのか)

長々書いてきたが、これで最後。 【なぜ性暴力は被害者にとって過酷なのか】 性行為は、互いに愛情があるのがもちろん望ましいが、互いの了解が一致していれば(そして必要に応じて正しく避妊していれば)、生き物としてごく自然な、日常的なスキンシップで…

性暴力についての覚書き⑥(なぜマジョリティはマイノリティを疎むのか)

ジャニー喜多川氏の性加害問題が巷で取り沙汰されてもう長い。被害を訴える7人が「ジャニーズ性加害問題当事者の会」を結成し、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会はこの7・8月での訪日を発表。聞き取り調査を行うそうだ。日本の、一芸能事務所の問…

性暴力についての覚書き⑤(性に対する偏見について)

既に日本中が知っている事をわざわざ世界に知らしめる必要があろうか。これが、旧ユーゴスラヴィアのセルビアやウクライナに侵攻したロシア兵による、非情な強姦致死であるとか、ミャンマーのロヒンギャ、チベット・ウイグルの女性が国軍に凌辱・強姦、乱暴…

性暴力についての覚書き④(家父長制下の性虐待、グルーミング)

その才能を見出し、育て、スターにしてくれたジャニー氏に対して、恩を仇で返すとはこのことではないか。 ジャニー氏は半世紀に渡って日本の芸能界を牽引し、スターを育て、その非凡な才覚で何億何千万という人々を楽しませ、夢中にさせてきた。昨今の流れは…

性暴力についての覚書き③(「責任を取る」とは)

代わってジュリー氏が謝罪も済ませているのに、これ以上何を望むのか。 【責任を取るとはどういうことか?】 そもそも、日本の性暴力・DV被害者の支援の方法は「間違っている」。 アメリカ、カナダをはじめとした国々での一連の基本対応は、まず加害者を逮捕…

性暴力についての覚書き②(支配とは何か、刑法改正)

本当に嫌な思いをしたのなら、その時なぜすぐに訴えない。 【支配とは何か】 性暴力被害者に「どうして抵抗や反論をしなかったのか?」「どうしてもっと早く逃げなかったのか?」と問う人がいる。 実際、刑法でも性暴力の立証条件に「抗拒不能」(加害者の暴…

性暴力についての覚書き①(社会構造が支える性暴力、若年者への性虐待の特徴)

物議を醸している一連のデヴィ夫人の発言。 一読してまともに言及する価値もないとは思う。ただ、彼女の意見があまりにも定型的な無知と偏見を露呈していること、構造的な差別意識を助長するロジックなので、この言説への反論はそのまま、「性なる家族」の復…

「君たちはどう生きるか」

日差しはそれほどきつくないが、毎日蒸す。 ついつい水分を摂りすぎて、トイレに行ってばっかりだ。 「君たちはどう生きるか」を見てきた。 近所のシネコンで一番大きいスクリーンの座席が、8割がた埋まっていた。 宮崎駿監督の新作としては10年ぶりで、事前…

ハレとケ

家を出る時、ご近所さんと顔を合わすと「あっついですねー!」とただただ言い合っているこの頃。化粧っ気のない私は近所を自転車で走り回るだけでもう真っ黒だ。ビーサンの鼻緒の形に日焼けの跡がついている。 寝室も一晩中エアコンをつけていないと寝苦しい…

初夏雑記

一昨日アップされた「となりの雑談」EP.25を聴いていたら、気の悪い場所に自ら引き寄せられてしまう人のことが、「バッド・バイブス・ハーモニー」という言葉で語られていた。おおシンクロニシティー。 バッドバイブスな場所で生まれ育ったゆえ、その対処法…

Never Too Late

さて、ここからが今書き残しておきたい考え。 普通の道理で考えて、仕事であれプライベートであれ、良い気を発している場所に自分の身を置いて、互いに親切で善くあろうとする人たちとの関わりを深めていけば、自分の人生は良い影響を受け、上向く。 逆に、…

人が大事に扱われる場所

昨日は、とある山の上にある家で催されていた私的な集まりに参加していた。 私の性分をよく知っている友達のおかげ。 まずはだいぶ前に誘われて、私は例によって「いいねいいねー」と安請け合いをしていて、でも、その後もポイントポイントでリマインドして…

梅雨晴れ間

毎日むしむししているが、今年の梅雨は予想していたほどはつらくない。 今日は休日。久々のヨガで汗を流してから、友達と美味しい蕎麦を食べて、場所を移して夕方までだらだら飲みながら喋る、定例の会。 やはり私は、人と会って喋るといろんなことが動く。…

今この国で進行していること

国会前のデモに参加していた娘氏が、さっき仏頂面で家に帰ってきた。 入管法は、数時間前、全てがめちゃくちゃのまま強行採決した。 「また」強行採決。 難民の方を、堂々強制送還できるようにルール変更した法案が、通った。 この法案に賛成した国会議員は…

実家と私

久しぶりに関西の実家に母子3人で帰省していた。 前回の帰省から、近所のホテルに部屋を取って、寝泊りはそちらでするようになって随分と気楽である。もっと早くにそうすれば良かった。 今回の帰省で一番印象深かったのは、16歳の娘氏と実家の人々との関わり…