みずうみ2023

暮らしの中で出会った言葉や考えの記録

book

「口の立つやつが勝つってことでいいのか」

頭木弘樹著/青土社/2024年 このタイトル、まさに自分が常日頃から思っていたことだったので、わっ読みたーい、と思ってすぐに入手した。平易で読みやすい本で、あっという間に読める。 内向的でずっと家にいて、腑に落ちるまでしつこく考え続ける癖を持つ…

往復書簡はじめました

写真家の長島有里枝さんは、去年出会った中で、最も好きな書き手のひとりだ。 以前からもちろん名前やあの有名な家族ヌードの写真は知っていたし、テレビや雑誌のインタビューを見かけたことはあったけれど、これまで文章は読んだことがなかった。 長島有里…

「老後とピアノ」

週末は、いつものように風邪気味鼻水だーだーの末っ子に沿ったシフト。 連日屋内施設で遊ばせる三連休だった。 最近ではもうさすがに、この子はどっちかというと身体の弱い子なんだという構えでやっていくということなのだなと観念している。 とことん振り回…

「本が語ること、語らせること」「その道の向こうに」

「本が語ること、語らせること」 青木海青子著/2022年/夕書房 「その道の向こうに」 2022年アメリカ/原題:Causeway/監督:リラ・ノイゲバウアー/94分 今年は、気持ちを静かに保ち、ささやかなヴォイスに耳を澄ませる一年にしたい。 大声や威圧や想像力…

「料理と利他」「家事か地獄か」

年末年始は、認知症の義父にとって不安が増幅する期間だ。 彼がいつもランチに通っている近所の地域の人々でやっている食堂(兼居場所)が長期休暇になるし、生協の夕食の配食サービスも数日間はお休みになる。 彼の住む鎌倉の山上は、ハイキングコースなど…

「くらしのアナキズム」

月曜日。 12月に入った。 季節感が乏しくなって久しいけれど、妙な慌ただしさだけはあり、これからの1ヶ月は、駆け抜けるみたいに過ぎていくのだろうな。 今朝は、雲が厚いからか、世界が不穏だからなのか、低空飛行の飛行機の音がとてもうるさい。 部屋の窓…

人に会う、読書の秋

今週は珍しく毎日誰かと約束してるみたいな、人と関わることの多い一週間だった。 こんな時に限って、普段連絡のない関西の親友から母校の学祭に行ったよーと大量の画像が届いたり、10年ぶりの知人にイベント会場でばったり再会したりもするのである。 私の…

秋深し、「思いがけず利他」

このところ、朝起きるのは毎日4時台。まだ外は暗い。 よく起き抜けに近所を寝巻きのままふらっと一周歩くのだけど、今朝は家の外の通りに出たら、まだ明るさを残した大きな満月が低い位置にあり、正面から目が合った。 寒いし、さすがに早すぎたかなと思いな…

「あんなにあんなに」

ここ数日、暑い中にも空気に秋の気配が混じるようになっている。 夕方になると、蝉だけでなく、鈴のような秋の虫の声がするようになった。 日中はもくもくと入道雲が立ち上っているのだけど、夕暮れ時は空も涼しげでうっとりと緩む。 後ろの座席に末っ子を乗…

「〈性〉なる家族」

2019年春秋社/信田さよ子著 この本には、私が長年知りたかった幾つもの疑問の答えが、ストレートに分かりやすく書かれている。 それは、主にジェンダーや性犯罪にまつわる疑問。 重苦しい、読むのが辛い内容が多く含まれるも、長年の胸のつかえが取れるよう…

日本のショック・ドクトリン

100分de名著の「ショック・ドクトリン」の第4回(最終回)が昨夜放送だった。 タイトルに「日本、そして民衆のショック・ドクトリン」と銘打たれていたので、おおーNHKの地上波でどこまで言及できるんだろう、と興味深く見た。 日本がショック・ドクトリンを…

村上さんの新刊を買う

今朝は強い雨音で目が覚めた。 終日雨予報だから、末っ子を運動させるために車で近所のモールへ。 本屋さんの正面に村上春樹の新作「街とその不確かな壁」がだーっと平積みしてあった。 村上春樹著/新潮社/2023年 厚いシュリンクをしてある一冊を手に取り…

「麻薬と人間」

ヨハン・ハリ著/作品社/2021年 「麻薬と人間」読了。 スマホを手にして以来、読書体力がすっかり落ちてしまった自分にはもうこんな分厚い本は読み通せないかも、と思いつつ手に取ったが、あまりにすごい内容で、昼間は前日に読んだ部分をつらつら考え、早…

エゴの取り扱い

まだまだ「イニシェリン島の精霊」のことを何かっちゅうと考えては話している。 やはり私はパードリック+ドミニク味が強めで、夫氏はコルム味が強めなんだろうなあと話していて感じる。 夫婦間には永遠のすれ違いが横たわっている。 なんとかやれるところま…

「ネット右翼になった父」

鈴木大介著/講談社/2023年 「脳が壊れた」や「発達系女子とモラハラ男」の鈴木大介さんの新作。 今回も鈴木さんでしかない一冊だと思った。 それは、鈴木さんは何を書いても、犯人探しに終わるのではなくて、結局自分自身を省みることに行き着く、「Man In…

スマホ/ネット依存からどう離れるか

「疲れたー、落ち込んだー、って一回止まると、そこからもう一度やる気を出してえいやって起き上がるのが一番難しい」と、娘氏が言う。 「部活のシャトルランで、がーっと走って一旦止まったら最後、もう二度と気力が湧いてこなくて走り出せないみたいな」 …