みずうみ2023

小さく心が動いたことについて

「平場の月」

2025年/監督:土井裕泰/117分/2025年11月14日〜 歳を取るって、どうしたってせつないことだ。 身体のどこかしらに痛みや不具合を抱え、命をおびやかす病気の予兆に時折怯えつつ、それも仕方ないことと受け止めやり過ごしながら、よれよれと日々を生きてい…

楽しく働く

週末は、家族に末っ子の世話をお願いして、クラフト市のマルシェで一日野菜を売っていた。 昨朝起きた時は冷たい雨が降っていて、どうなることかと思ったけれど、日中はお天気雨がぱらぱらと時折降るくらいで済んだ。 雨上がりの清涼な空気の中、雨露に濡れ…

「リアル・ペイン 心の旅」

2024年アメリカ/原題:A real pain/監督・脚本:ジェシー・アイゼンバーグ/90分 今のハリウッドではなかなか見られなくなってしまった、地味だけど心の機微を丁寧に描いたロードムービー。 ポーランドが舞台になっていることもあり、全編を通してサウンド…

このあやうい状況に思うこと

高市首相の支持率が80%超えと聞いてがっくりしているこのところ。 個人的には、トランプ来日の際の横須賀基地でのはしゃいだ高市氏の姿は、あまりの異様さといたたまれなさに正視ができなかった。 外交というよりは、まるで接待のようだった。 トランプに対…

意図に忠実であるということ

しばらく前、友だちと一緒に過ごしている時に、私が共通の知人Yさんについて何気なく話題を振ったら、すごく複雑な表情になり、実は数ヶ月前、Yさんから絶縁されてしまったと聞かされて、おどろくということがあった。 Yさんは、成功されている本業とは別に…

低め安定

冷たい雨が降る週末。 短かった秋は雨と共に去り、一気に冬の装備で過ごす日々になりそう。 きっと、気がついたら年末年始なんだろうな。 私は相変わらず低め安定で、基本はずっとどこかもの悲しくて虚しい、生きるってさみしいことだなあと思いながらのぼっ…

「ワン・バトル・アフター・アナザー」

2025年アメリカ/原題:One battle after another/監督:ポール・トーマス・アンダーソン/165分/2025年10月3日〜日本公開 とっても楽しみに待ち焦がれていたPTAの新作。 結果、「マグノリア」はやっぱり不動の1位のままだけれど、でも本作も相当好き。 王…

政治の言葉② 道義性の力

続きを書こうと思ったけれど、この1週間の政治のどたばたの中で、石破総理の戦後80年所感は、ああそんなこともあったねというかんじで、あっという間に置き去りになった感。 あらゆる出来事のなんという消費の速さだろう。 とてもキャッチアップしきれるもの…

政治の言葉① 長く傷つけられてきた

久しぶりに、政治のことをちっぽけな自分の言葉で書こうと思う。 夫婦で以前はよく政治の話をしたものだけど、夫氏はもうすっかり政治的なことに思考のリソースを割くことをやめてしまった。 誰が総理大臣になったとしても、この国が自分たちのことを自分た…

「違国日記」

全11巻/2017年〜2023年/ヤマシタトモコ著/祥伝社 前回の文章は、最近読んだこの作品のことを思い浮かべながら書いた。 今の世界での主流の物語は、経済合理性を背景とした、この社会の価値観を強化するような物語だ。 強く、美しく、賢く、若々しく、才能…

語るに足る、ささやかなこと

昨日も昨日とて、いろんなことがあり興味深い一日だった。 職場では、何人かが私が一人で作業しているところにやってきては、打ち明け話や人生の話や職場内の難しい問題や誰かのわるくちとかを語っては去っていった。 家に帰ってからも、LINEでのやりとりが…

「その後の不自由」「生きのびるための犯罪(みち)」

スマホ離れは、たまにうっかり見過ぎた、という時もあるけれど、まあ順調に続いている。 本を読む時間がぐっと増えて楽しい。 図書館にいく機会も増えたし、通りがかりに本屋やブックオフがあったら寄り道をするようになった。 とはいえ、スマホをはじめとし…

やわらかい物語としっかりしたエッセイ

低調な心身におうかがいをたてるようにして、そろりそろりと過ごしている日曜日。 今朝の海 風も波もなし 人に会うことに全く気が進まないけれど、昨夜は義父の誕生日だったので、夫氏と末っ子と共に義実家を訪れた。 ずっと食欲もないが、昨日はホールケー…

喘息、親子げんか

朝晩は日に日に冷え込みが深くなっていくが、日中はまだまだ暑い。 ここ数日、夕方以降は喘息っぽい呼吸になり、ひやひやしている。 iherbで買ったハーブの喉スプレー(使うのを躊躇するくらいスパイシー)を何度か喉に吹き付けている。 できればステロイド…

おかえりしょうた

夏の間じゅう、時折思い出しては身を案じ続けていた人がいる。 それは、バッパーしょうた(Bappa Shota - YouTube)というYouTuberで、私は彼の作る動画のファン。 単身で世界中、とりわけ観光客にとってはハードルの高い国々を訪れては、素直で柔らかな視点…

鬱期に入る

雨が降るたびぐっと気温が下がり、あっという間に夏が遠ざかっていく。 今年も夏の暑さは厳しく、日中はもうお手上げ状態で、諦めてクーラーの効いた部屋でじっとしておこうという日も多かったから、涼しくなるのは喜ばしいことのはずなんだけど、厄介なこと…

「遠い山なみの光」

2025年日本・イギリス・ポーランド合作/監督:石川慶/123分/2025年9月5日〜公開 夏休み期間中はひとつも見たい作品のなかった近所のシネコンで、9月に入ってまず見たかったのがこの作品。 それにしても洗練された撮影が際立つ作品だっただけに、どうして…

「私たちが光と想うすべて」

2024年フランス・インド・オランダ・ルクセンブルク合作/原題:All We Imagine as Light/監督:パヤル・カパーリヤー/118分/2025年7月25日〜日本公開 冒頭、電車の車窓越しに流れるムンバイの夜景の撮影が素晴らしく、いきなり心を掴まれてしまった。 イ…

夏もおしまい

昨日の朝、車の後にスーツケース2つを詰め込んで、余ったスペースに家族全員がぎゅうぎゅうに乗り込んで、駅まで息子氏を見送りに行った。 出発直前、お隣さんの奥さんが慌ててつっかけ姿で出てきて、リボンをかけた歯ブラシセットを息子氏に手渡して見送っ…

五感を心地良くする習慣

若い時に自分には到底無理と思われていたことが、いつの間にか苦もなく自然にできるようになっていた、ということに気付くことが最近何度かあって、そのたびにふつふつと嬉しく感じている。 何かが技術的に上達したというよりは(それもゼロではないけれど)…

パンの耳

パン屋さんで食パンをスライスしてもらう時は、私は必ず「端(パンの耳の部分)は薄く切って入れてください」とお願いする。 薄くスライスされたパン耳をこんがりと焼いてバターをつけたのをがりがりと食べるのが、なんなら本体より好きである。 たまに食パ…

生後1827日(5y/0m/1d)

末っ子は5才になった。 昨日は農園の仕事の日だったので、仕事帰りにケーキ屋さんで頼んでいたケーキをピックアップした。 汗だくの汚い格好でこぎれいなケーキ屋さんに入っていくのが恥ずかしかった。 先日私の誕生日だったので、このケーキ屋さんにはこな…

親切とやさしい

「Everything Everywhere All at Once」という愛すべき素っ頓狂な映画の中で、キー・ホイ・クワン演じる主人公の夫の決め台詞は、「Please be kind.」だった。 そんな陳腐な言葉がクライマックスの決め台詞として人々の心を打つほどには、今の世界は親切心を…

スマホから離れるチャレンジ

こないだ誕生日を迎えたのをきっかけに、気持ちをあらたにいくつか目標を立て、ほどほどのゆるさで継続している。 基本的に生きるとは、「私のトリセツ」「私を取り巻く世界のトリセツ」を地道にブラッシュアップしていく日々の取り組みのことだと思っている…

間合いを開ける

3年ぶりに息子氏が帰国しているタイミングに合わせて、真夏の母子帰省をしてきた。 数日の滞在と長時間の移動で、身体はガチガチにこわばっていた。 家に帰ってすぐに熱いお風呂に浸かって体を温め、マッサージシートを1時間ごりごりやって背中を揉みほぐす…

幸せなサイクル、「さみしくてごめん」「Flow」

昨日は酷暑の中、里芋畑の畝間除草。汗だく埃まみれ。 野菜の収量が減り、手が回らなくて放置されていた畑の管理作業がやっとできるタイミングだということも分かるけれど、なにもこんな炎天下にやらなくても、と同僚はぷんぷん怒っている。 私は「ほんとで…

飲み会

昨夜は職場の飲み会だった。 普段ごたごたしたりけんかしたりしているのに、仕事と病気で来られない2人を除いた全員がいそいそと参加してるのが可笑しかった。 20人以上の飲み会なんて参加したことあっただろうか。 あったとしても、思い出せないくらい昔の…

会話について

日曜日。今日も暑い。 午前中保育担当の夫氏は、末っ子と自転車で出かけてしまい、入れ替わりで起きてきた娘氏と紅茶を飲みながらだらだらと話し込む。 いい具合に話が転がると、どこまでも話が深く広くなっていくような娘氏との会話だ。 二人とも、今ある前…

息子氏帰る

フランスに住む息子氏が帰ってきている。 2年9ヶ月ぶりの再会だというのに、時々LINEのビデオ通話をしているせいで、久しぶり感や新鮮さを全く感じず、そのことに我ながら驚く。 インターネットテクノロジーはとても便利なものだけれど、日常をシュールに、…

今年の夏

鎌倉での対話会が無事終わり、今年の夏休みが始まったという気持ち。 対話会は、いろいろ反省点はあるものの、違う考え方の人たちが違うままに認め合って、リラックスして率直に自分の思いを口にすることができていたという一点において、とても嬉しい時間だ…