高市首相の支持率が80%超えと聞いてがっくりしているこのところ。
個人的には、トランプ来日の際の横須賀基地でのはしゃいだ高市氏の姿は、あまりの異様さといたたまれなさに正視ができなかった。
外交というよりは、まるで接待のようだった。
トランプに対して身体を寄せて躊躇なく親密アピールをするのも大丈夫かと思った。
先月も全米各地で700万人以上の平和的な反トランプデモが行われ、最新のワシントンポストの世論調査では、アメリカが間違った方向に進んでいると答えた人は67%に達している。
トランプの天下はいつまで続くか。
数々の横暴な振る舞いや嘘が問題視されている人物に全力でおもねることは、道義的にも見識を疑われることで、国益を大きく損ねることだと思う。
そんなトランプを日本政府がノーベル平和賞に推薦するというニュースにもただ白目であった。
これらを批判することもない国内メディアは、もうメディアのていを成していないと思う。
まともな交渉も政治的駆け引きもなく、アメリカの要求を唯諾々と受け入れた結果、軍事費の更なる増額を約束し、国内の産業を細らせてもアメリカの利益のために日本の財産を膨大に注ぎ込むことになった。
国富の大部分の使い道を左右する重大な決定を、国会で話し合うこともなく、こういう場で勝手に決めてしまえるって、一体どこが民主主義なんだろうなと率直に思う。
主な”合意”項目だけ見てもとてもひどい。
・アメリカへ84兆円投資。
これは、融資ではなく出資なので、アメリカに返済義務はない。
配当の90%もアメリカの取り分なので、日本は10%のリターンしか得られない。
国の財産をアメリカに献上しているのに等しい行為。
・国産米を減産する代わりに、アメリカ米の輸入を75%増やす。
主食の米が2年間で2倍の価格に高騰している中、石破政権での国産米増産の方針をくつがえして、再び減産することを決定。
米以外もアメリカの農作物1兆2000億円もの購入を約束。
これは日本の年間の食糧国家予算の約半分に相当する。
・武器の購入2兆5000億円、航空機100機購入。
こういう使い方をされるなら、もう頑張って働いて納税とかしたくないと思えてくる。
言うまでもなく、最も問題なのは、近年の日本の軍事費の急激な増額に次ぐ増額。
更に今回のトランプの来日で、高市氏は軍事費を2年前倒しで増額することを約束した。
まるでブレーキが壊れた車みたいだ。

2012年の第二次安倍政権以降、絶えず軍事費は増額してきたが、2023年からはあり得ないほど急激な増額に転じている。
そしてこのグラフにはない2025年度の軍事費は、8兆7005億円。
上のグラフを大きく飛び出してしまった。
3年で3兆3000億円軍事費が増えた。
国民生活が苦しい中、軍事費だけが6割以上増えているって、かなり異常なことだと思う。
遠いところで軍事費が増えていて、私たちの暮らしには特に関係がないということではもちろんない。
高市政権になってから発表された方針で、連立の維新の新自由主義方針も相まって、軍事費確保のために、国民が得られる社会保障・医療・福祉・教育への予算を削り、増税が加速することが明らかになっている。
すでに4兆円の医療予算削減が発表済み。
石破政権以降断続的に引き上がってきた基本賃金の引き上げも、2万円の現金給付も中止。
今後、私たちの日々の暮らしはより経済的に苦しくなるだろうし、医療福祉の制度が加速度的に脆弱になり、自己責任で金次第の不安な世の中に向かっていくと思う。
同時に、こうした国民にとって何ら良いことのない、当たり前に抵抗の大きい施策を強行突破するために、反対の声をあげる者を罰することができるように、高市政権を発足してすぐに国家情報局の創設が発表され、「国家機能維持条項」(=緊急事態条項のこと。どれだけ恐ろしいものかが広く知られてしまったので、去年名前を変えた)、スパイ防止法、国旗毀損罪などが、急速に前に進められようとしている。
メディアコントロールは、高市政権になってから非常に強まっている。
だから、何が今進行しているのかがまともに報じられない。
今起こっている客観的事実を横断的に知ろうと思ったら、海外メディアが頼れるソースになり、それなりの時間と手間ひまがかかる。
まるで安倍政権に戻ったみたいだ。
ただ受け身で降ってくる情報だけ浴びていたら、何も知らないまま。
特に、長期的なスパンで推移的に政治状況を把握しようとすると、ネット上では簡潔にまとめられた資料になかなかたどり着けない。
SNSでは、政治を危惧する声をあげたり、政権批判をした人に、おびただしい量の攻撃的なリプライが捨てアカウントで送られてくる。
「こういうことにはどうかなりませんように」と心の中で念じていたことが、新政権が発足した途端にいくつも起こって、目を閉じたい気持ちになっている。
選択的夫婦別姓の導入も当面は絶望的な一方、問題の多い共同親権は来年1月に施行される。
安倍政権時よりも、「強者に国有財産を差し出す代わりに自らの権力を保証してもらう」独裁傀儡政権味が増している。
食料自給率をあえて下げても輸入食材に頼る体制を進んで作ったり、インフラを外国の資本家に安く売り払ったりして、国を脆弱にし、国民を犠牲にしている人たちのことを、「愛国」とか「保守」と呼ぶってかなり倒錯的だ。
自由にものを言える社会では、日に日になくなっていっている。
どういう形で関わるかは分からないにせよ、この国は明らかに平和ではなく戦争に向かっている。
とても怖い、あやうい状況にこの社会が差し掛かっていると私は大げさでなく思っている。
でも。
でも、これまで人間は同じことを散々繰り返してきたじゃないか、とも思うのだ。
人間世界は、上から見ると同じことをぐるぐると繰り返しているように見えるけれど、横から見ると螺旋状に、少しずつ上昇している、というイメージを私は持っている。
人間はポンコツだけれど、同時に失敗から学んできたし、そのことによって確実に色んな側面で意識が変わってきたと思う。
たとえば、高市首相がトランプに全力ヨイショしてるさま、私にとってはもう見ていられないくらいイタい光景なんだけれど、それは私が強者男性におもねなければ排除されてしまう社会をまさにくぐってきた一人だからということはあると思う。
若い頃、私はお酌とかもせず「生意気」と言われる部類だったけれど、それでもあの感じを肌身でようく知っている。
だからこそ見ていて情けなく、たまらない気持ちになるし、削られる。
でも、高市氏に見られるようなスティグマは、若い世代にとってはすでに過去のものだと思う。
国会はどこよりも旧態依然としているけれど、一般社会では分かりやすいパワハラ男性なんてそうそう見られなくなっている。
今の時代なりの違うしんどさはあれど、20年前よりも性差を無駄に強調しなくても生きられるという感覚に変化しているということは、確かにあると思う。
それは少し螺旋を上昇しているってことで、希望なんだと思う。
学びと経験の蓄積による人々の意識の変化は、あらゆる側面においてきっとあり、過去と同じような場面に直面しても、そのたびちょっとずつ違う選択をする、違う応答をする、違う捉え方をする。
それによって、過去と全くは同じようにはならない。
違う結果が生まれる。
それは希望なんだと思う。
ただし、そうした人類の集合意識のアップデートとも言えるものを全部吹っ飛ばしてしまう禁じ手がある。
それが「緊急事態」だ。
「今はそれどころではない」という殺し文句で、権限を持った者や強者が人々を抑圧したり、支配することがまかり通る。
戦時中やパンデミックでは、人権を完全に無視するようなことも許されてしまう。
それは、とてもとても怖いことで、同時に人を支配したい者が喉から手が出るほど欲している状況でもある。
だからこそ、憲法改悪による緊急事態条項を作ることを、私たちは決して許してはいけないんだと思う。
それは私たちが人間らしく生きることを、根こそぎ奪うことを可能にするものだからだ。