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2024年/監督・脚本:押山清高/58分/2024年6月28日〜 ロングランになっているこの作品を、ようやく見た。 あっぶなかったー、これを見逃すところだったとは。 たった58分とは全く思えないほど、濃密で至福の時間だった。 冒頭から心奪われ、最後まで逸らさ…
2024年アメリカ・イギリス合作/原題:Kinds of Kindness/監督:ヨルゴス・ランティモス/165分/2024年9月27日〜日本公開 ヨルゴス・ランティモスらしい異様さや不条理、気まずいユーモアに満ちた作品。 ただ、難解なのかと言われたら、そうではないと私は…
2023年フィンランド・ドイツ合作/原題:Kuolleet lehdet/監督:アキ・カウリスマキ/81分 「虎に翼」の半年間が晴れやかに終わったなあ、と思いながらのカウリスマキ。 安定のカウリスマキ節。 なんの新しいこともない。それがいい。 無表情で棒読みの名も…
2024年/監督:奥山大史/90分/公開2024年9月13日〜 近年見た映画のどの作品ともこの作品は違う味わいを残した。 普段心の奥深くに注意深くしまい込まれているとても脆弱で柔らかな部分に、この映画はそっと遠慮がちに触れてくる。 深々とした溜め息が出て…
2018年/ヨシタケシンスケ著/PHP研究所 ここ半月、末っ子に毎晩のようにこの本の読み聞かせをせがまれている。 不思議と何度読んでも退屈しない。 とぼけた「間」が妙に心地良い。しっくりくる。 可愛らしいだけじゃなくなかなか味わい深い絵本だと思う。 …
2018年/監督:前田悠希/脚本:渡辺あや/68分 以前から見たかった渡辺あや氏の手による、NHK京都のローカルドラマの劇場版が、Amazonプライムで配信されていた。 6年前の作品だけれど、私たちが生きる今の社会の空気感が横溢していて、なんとも言えない気…
2023年アメリカ・イギリス・ポーランド合作/原題:The Zone of Interest/監督:ジョナサン・グレイザー/105分/2024年5月24日〜日本公開 昨日アップした文章が、救いもない暗いものになってしまったのは、きっとこの映画を見たせい。 この作品は、これま…
2023年アメリカ/原題:Leave the world behind/監督:サム・エスメイル/141分/2023年12月8日〜Netflix配信 明日は関東に台風1号が近づく見込みらしい。直撃ではないようだけれど。 台風の前はいつも、気持ちが泡立つ。 独特の予感をはらんだ空気がもった…
ひねくれ者ゆえ、ベタに照れてしまい、基本苦手なのだけど、ここ最近見たいくつかの作品には、ベタの力ってあるなあと感心しつつ楽しんで見ている。 ベタという衣に包みつつ、相当なチャレンジをしている今回の朝ドラ「虎に翼」は毎回15分と思えぬ濃密さで、…
2023年イギリス/原題:All of us strangers/監督:アンドリュー・ヘイ/105分/2024年4月19日〜日本公開 アンドリュー・ヘイ監督の作品は「さざなみ」「荒野にて」を見ているけれど、どの作品にも共通するのは、さびしさ。 複雑な思いを誰にも話さず内側に…
2023年イギリス・アメリカ・中国/原題:3 Body Problem/製作:デビッド・ベニオフ、 D・B・ワイス、アレクサンダー・ウー/1シーズン全8話各話45〜60分・2024年3月21日〜Netflix 配信 2023年アメリカ/原題:Oppenheimer/監督:クリストファー・ノーラン…
2023年アメリカ・韓国合作/原題:Past Lives/監督:セリーヌ・ソン/106分/2024年4月5日〜日本公開 こういうしみじみとした美しい余韻を残すラブストーリーを最近ではほとんど見なくなった。 丁寧に丁寧に人物の心情を描き、日常の中にあるさりげない美や…
2023年アメリカ/原題:Beau Is Afraid/監督:アリ・アスター/179分/2024年2月16日〜日本公開 パンデミックで映画館が長期閉館してしまう直前の映画館で見たのがアリ・アスターの「ミッドサマー」だった。 作品からは大いに刺激を受けたものの、超!後味…
2023年フランス/原題:Anatomy of a Fall/監督:ジュスティーヌ・トリエ/152分/2023年2月23日〜日本公開 いつも通りほぼ予備知識ゼロで見に行ったのだけど、何も知らなかったからこそ夫婦で見られたよねーと思うくらい、夫婦の怖い話であった。 でも、結…
2004年韓国 / 原題:오아시스(OASIS) / 監督:イ・チャンドン / 133分 わたしたちは、程度の差こそあれ、誰もが属する社会やコミュニティーに即した倫理観や人間観を内面化している。 それなしには、社会に適応し、社会の一員としての権利を享受するこ…
2023年スペイン/原題:Cerrar los ojos/監督:ビクトル・エリセ/169分/2024年2月9日〜日本公開 人生の折り返し地点を過ぎた人にぜひ見てほしい作品。 長いしとても地味だけれど、しみじみと味わい深い。 主人公ミゲルは、何十年かぶりに謎のままに過去に…
毎年のことながら、確定申告が完了するまでは、経理のことがずっと頭の上にずーんと灰色の雲みたいにのしかかっている日々である。 ブログも当分は断片的で短いものになると思う。 お金の計算をすることが苦にならないように慣れるようにとあれこれ工夫して…
昨年末から年始にかけては近場の映画館では観たい作品がほとんどなかったけれど、これからしばらくは期待作がめじろ押しで嬉しいー。 一番の楽しみは、2/23公開の「落下の解剖学」と「哀れなるものたち」。 2023年イギリス/原題:Poor Things/監督:ヨルゴ…
「本が語ること、語らせること」 青木海青子著/2022年/夕書房 「その道の向こうに」 2022年アメリカ/原題:Causeway/監督:リラ・ノイゲバウアー/94分 今年は、気持ちを静かに保ち、ささやかなヴォイスに耳を澄ませる一年にしたい。 大声や威圧や想像力…
2023年/監督:岸善幸/134分/2023年11月10日〜公開 この社会にだめなところもバックラッシュもさまざまあるが、こういうテーマの映画がメジャーな俳優で映画化されるようになったとことは、時代の進歩と言えると思う。 本来、人間は一人一人全然違う価値観…
2023年/監督:石井裕也/140分/2023年10月27日〜公開 この上なく重たい「月」を先月見たばかり、同じ監督が作ったコメディを面白く見た。 笑えるし、泣けるところも多々あるが、全編を貫いてほとばしるのは怒り。 この作品で石井監督は随分いろんなものに…
2023年/監督:石井裕也/144分/2023年10月13日〜公開 津久井やまゆり園障害者施設殺傷事件(相模原事件)から9年が経ったけれど、事件をこの社会がどう考え、我々はどう歩みを進めていけば良いのかという総括には、いまだ程遠い段階にあると感じる。 この…
2022年/監督:熊切和嘉/113分/2023年7月28日〜公開 2023年の映画は上半期はとっても豊作、だけど下半期はそれほどでもなく。 とはいえ、映画館で映画を見る機会が一定期間以上空くとむずむずしてくる。 本作は、マストではなかったけど、ちょうど会う予定…
2023年/監督:森達也/137分/2023年9月1日〜公開 記憶に残る後味の悪い映画は?と聞かれれば、ラース・フォン・トリアーの「ドッグヴィル」を挙げる。 もう20年前の作品だが、私はこの作品で、自分がどれだけ独りよがりな映画の見方をしているかを思い知ら…
早朝、娘氏は奥会津へ向かった。これから5日間サマースクールに参加する。 事前に読み込まねばならぬ課題図書に手こずっていたが、なんとか課題提出に間に合ったよう。 学びを授けてくれるのは、哲学者、山伏、文化人類学者、禅僧といった人々。 学びたいと…
2022年〜イギリス/原題:HEARTSTOPPER /原作・脚本:アリス・オズマン/監督:ユーロス・リン/2シーズン16エピソード各話約30分 娘氏が可愛いオバケみたいなゆるキャラぽいイラストの見慣れないTシャツを着ていた。 かわいいと褒めたら、そのオバケが片手…
1993年中国・香港・台湾合作/原題:覇王別姫 Farewell My Concubine/監督:チェン・カイコー/172分/2023年7月28日〜4Kリマスター版公開 最後に観たのがいつだったのか思い出せないくらいだけれど、忘れっぽい自分が多くのシーンのビジュアルを克明に覚え…
夏風邪で咳がひどかったこともあって、昨日は予定を取りやめて、日がなキーボードをばちばち打って自分なりに了解しておきたい物事を一気にアウトプットしてしまった。 日頃から節操のない乱読だけれど、時々丸ごとばりばり貪り食べるみたいにして読む本があ…
日差しはそれほどきつくないが、毎日蒸す。 ついつい水分を摂りすぎて、トイレに行ってばっかりだ。 「君たちはどう生きるか」を見てきた。 近所のシネコンで一番大きいスクリーンの座席が、8割がた埋まっていた。 宮崎駿監督の新作としては10年ぶりで、事前…
2022年アメリカ/原題:Women Talking/監督:サラ・ポーリー/105分/2023年6月5日〜日本公開 エンドクレジットが終わって劇場が明るくなっても、なかなか立ち上がることができなかった。 ぼーっとして体にうまく力が入らず、体が重力に逆らえず、しばらく…