国会前のデモに参加していた娘氏が、さっき仏頂面で家に帰ってきた。
「また」強行採決。
難民の方を、堂々強制送還できるようにルール変更した法案が、通った。
この法案に賛成した国会議員は、自民党124人全員。公明党25人全員。日本維新の会11人全員。無所属1人。
あんたらのことをずっと覚えている。
権力は一旦数の力を与えてしまったら暴走するのみということを、これ以上ないほど証明している今国会である。
与党の最近の開き直り感ってすごい。
もう何をやっても自分たちの権力は揺るがないと安心している。
大臣たちは、もうろくに説明もしないし、逆ギレ気味の態度ですらある。
主要マスコミは政権に都合の悪いことは報道しないし、政府をアシストするような恣意的な世論調査さえ流してくれるから、とても安心。
46.7%もの人が今の政府を支持してる?本当に?
あらゆるものの物価が上がり、賃金は全く上がらない中で社会保障を削り、増税。その税金を、軍事や外国に何十兆円もつぎ込む。
コロナ対策の特別予算12兆円のうちの9割が使途不明。つまり政治家たちが11兆円を横領。
誰ひとり責任を取らない。
昨年税収、過去最高の68兆3500億円。
それでも新たに更なる負担増の政策が発表され続けている。
そんな政府を支持している人がいたとして、その人は、一体今の政府の「何を」支持しているのだろう。
今、この国で一体何が進行しているのか、全体像を把握できている人はどれほどいるだろう?
ただでさえ皆多忙だし、ニュースに対して消極的な、一般的なメディア環境にある人々は、知るべき重要な情報はメディアからはほとんど何も得られず、ジャンクな情報を詰め込まれて頭をぱんぱんにされている可能性が高い。
何が重要で、何が瑣末な問題なのか、訳が分からなくなっている人は大勢いると思う。
きっと、何かがおかしい、何かが着々と進行している、という漠然とした不安は感じている。
でも、今日はとりあえずつつがなく送れているし、と頭を振って思い直す。
今、コロナ禍という天災に乗じて、この国では典型的なショック・ドクトリンが進行している。
入管法だけではなく、今国会では、悪法が雪崩のように決まっていっている。
明らかにこれまでとは一線を画して、ギアを一段階ぐっと入れた感がある。
特に悪質なものだけでもこれだけある。
入管法以外は、主要メディアではほぼ形骸的にしか報じられていないはず。
自分自身整理する意味で、まとめて置いておく。
●5/31に可決された「GX推進法案」。
グリーンエネルギーという言葉は名ばかりの、原発業界の既得権益のための原発推進延命のための法案。
老朽化、事故リスクの高い原発を60年以上も稼働することを可能にした。
今の政府は長期的視座なく、今の利権だけ。
これで災害による大事故が起きても、誰も責任を取らないことだけは分かっている。
健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一本化。
国民にとっては何の必然性もない、優先度の低いことばかり大金をつぎ込んで必死で大急ぎでやる政府って怪しすぎる。
高齢者や障害者の運用ハードルが上がり、医療機関の負担が増える。
対応できずに無保険者が増える。そしてそれこそ今の政府の歓迎するところなんだろう。
何よりも、個人の最もプライベートな病歴や健康状態の情報を国が掌握する、全ての預貯金口座情報をマイナンバーと紐づけて国が個人の資産を正確に把握し、徴税の強化を可能にするって、シンプルに国民全員にとって不利益が大きすぎることだが、こんな重大なことをほぼ説明も話し合いもないままに決めてしまって、本当にいいのと思う。
こんな形で国民皆保険が崩壊させられるとは思っていなかった。
●予防接種の義務化につながるCDC法、5/18に可決。
コロナワクチンの薬害がどんどん深刻化していることへの対応はおざなりのまま。
●5/23、軍事費をこれまでの2倍の12兆円(!)規模にする「防衛財源確保法」が衆議院を通過。
これにより国民実質負担率は60%を超える。つまり、収入の6割を税金や保険料として国に取られる。
北欧以上の高納税率なのに、社会保障は年々悪くなる一方。暮らし向きは北欧とは雲泥の差。
私たちが納めた税金の多くは、武器購入などに使われる。
もはや働くのが虚しすぎる域に。
●LGBT法案は、与党の横槍でぐじゃぐじゃになり、今国会の成立は難しい。
統一教会の代弁者たちが力を握っている限り、今後も難しいだろう。
●多くのフリーランスを収入減、廃業に追い込むインボイスの強引な導入
●健康保険法改正案 後期高齢者医療制度の負担増が決定
●扶養家族控除の減額
●退職金への課税
そしてなんと、そんな状況下でも日本の国会議員の年収は着々増額され続け、今、世界3位の4500万円になっている。わーお。
国民の収入は30年間全然増えていないのに。
年収以外にも様々な特権(JRや飛行機の乗車が無料など)や手当があり(月100万円の非課税の文通費など)、それらを含めると世界1位、世界最高額の給料を日本の国会議員は手にしている。
海外でも同じような例がある。メディアが政治の監視機能を放棄すると、議員報酬は爆上がりする。腐敗の定番パターンの一つである。
全部網羅したわけではないけど、ここに挙げたことはどれも単なる事実。
それ以上でも以下でもない。
首相の息子、確かにふざけた息子だけど、おばかさんを責め立ててガス抜きしても何の足しにもならない。
今国会で起こっていることに比べたら本当にほんとーーーうにどうでもいい。瑣末なこと。
せめて、そんな資質も実績もない人物を、子供だからってコネで重要なポジションにつける首相と政府が責められるべき。
川下の、責めやすい者ばかりを攻撃する手癖みたいなものに気づかなくては、いつまでも怒りをていよく権力に利用されるだけ。
反射的な情緒に流されることにもっと疑い深くなり、一人ひとりが考えなくては。
そうやってよそ見している間に、私たち一人ひとりをかろうじて守ってきた防波堤が、日々暴力的に壊され、撤去されていっているのだから。
目に見えて軍国化や改憲も進行している。
でも、この国の今の状況を、「避けがたい自然の摂理」みたいに思っている人がいっぱいいて驚かされる。
「仕方ない」って何度いろんな人から聞いたろう。
違う。
仕方ないことなんかじゃない、全然ない。
だって、この10年、この国で進行していることは、典型的なショック・ドクトリンだから。
ショック・ドクトリンとは、ミルトン・フリードマンが提唱した新自由主義が最悪の形で機能したもので、大惨事で人々の判断力、抵抗力が失われている隙につけこんで、過激な市場原理主義改革を実施すること。
これが実施された国々では、福祉、医療、教育が限界まで削減されていき、国民は非常に貧しくなる。
そして政治の腐敗、独裁が進行し、逮捕や拷問、処刑がはびこる。
つまりこの国においては、震災やコロナ・パンデミックに乗じて、腐敗政治家が、社会保障を削って税を徹底して利権優先の分配にし、公共財産を民営化して企業に売り払った。
ショック・ドクトリンは一つの定型的なパターン。
だから、この先これ以上貧しくなりたくなかったら、これ以上人権を奪われたくなかったら、まず私たちにできることは、今の与党(自民、公明、維新、国民民主)には絶対投票してはいけない、これ一択なのだ。
折しも今、NHKの「100分で名著」で、ジャーナリストの堤未果さんの解説で「ショック・ドクトリン」(ナオミ・クライン著)が4回にわたって取り上げられている。
ちなみに第一回の最後の再放送が、6/12(月)の13時〜。
著書はなかなか手ごわいので、番組を見るのがわかりやすいと思う。
この新自由主義社会の秘密が身も蓋もなく解き明かされていて、純粋に面白いと思う。
それにしてもNHKって意味不明。
政権与党の言いなりみたいなニュース番組を作るかたわらで、政権与党の手の内を暴くような番組を同時にやるなんて。