(2024年4月18日、山本氏の国会質疑 要約と補足)
【日本の政治に命令をする3つの圧力団体】
日本政府が国民よりも最優先する3つの圧力団体
②アメリカを中心としたグローバル多国籍企業 → 「年次改革要望書」
③米軍 → 「アーミテージ・ナイレポート」
これら団体が、提言や要望書を定期的に出す。
断ることのできない事実上の命令。
【年次改革要望書とは】
1993年〜2008年まで毎年出された。鳩山政権になって終了。
日本はアメリカに中間報告を提出、目標達成度を報告する仕組み。
非常に厳しく「植民地の仕事」を進捗管理するシステム。
【なぜ全国の郊外がイオンモールだらけ、商店街がシャッター通りになったのか?】
1997年要望書で、日本が国内小売業者を保護するための大規模店舗出店規制の法律を批判。
海外資本が日本市場で自由に商売ができるよう「大店法」の改正を要求。
3年後、政府は「大規模小売店舗立地法」で、大型スーパーの出店規制を緩和。
全国に郊外型巨大ショッピングセンターが急増、全国の中小業が衰退した。
【日本企業が外資に支配され、株主利益追求型になった理由】
2004年要望書で、海外資本が日本企業を合併や買収できるよう、商法の改定を要求。
3年後、政府は会社法を改正。
外国企業が日本に子会社を作り、その子会社を通して日本企業を買収できるようになった。
【日本が不安定・低賃金・無昇給の派遣労働者で溢れ、貧困化した理由】
経団連・アメリカなどグローバル企業・米軍は、共通利害には結託して目標を達成する。
1986年、13業種に限定という条件で可決された労働者派遣法。
1995年経団連(当時は日経連)は、派遣労働が可能な業種の拡大、派遣雇用期間の延長などの要望を出した。
1996年年次改革要望書で、全業種が派遣可能にすべきで、派遣を禁止する業種のみリストを作るべきと要望。
3年後、政府は派遣法を改正。原則自由化。
2003年には全職種で規制を撤廃。(17年後)
2008年、派遣労働者は200万人。
今では国民の6.5人に1人が貧困。
【郵政民営化は小泉の悲願などではなく、アメリカの命令だった】
2004年年次改革要望書で優勢民営化を要求。
日本が発行する国債505兆円の3割を保有する日本郵政公社の国債を外資が掌握したかった為。
翌年、政府は郵政を民営化。
【2008年以降、アメリカからの命令はアーミテージ・ナイレポートに集約されている】
アメリカを中心とした海外資本家の利益のための年次改革要望書は、鳩山政権の誕生により終了。
しかし、海外資本家からの圧力ルートはなくならず、アーミテージ・ナイレポートで、アメリカの軍事と経済利益への要求は出され続け、要望は全て実現している。
【国の公共事業がなくなった理由】
2000年以降のアーミテージ・ナイレポートは、外国企業に市場を開放せよ、政府の公共事業を減らせと圧力をかけ続けてきた。
政府は10年間かけて公共事業を半減。
公共事業規模 橋本内閣時48兆円 → 小泉内閣時27兆円
土木建築業、13年間で13万社が倒産廃業。
今、災害復興もままならないほど業者が不足している。
【アメリカに利用されるだけの植民地という現実】
2000年のアーミテージ・ナイレポートの主な要望は他に、
・通信分野の規制を緩和せよ
・集団的自衛権(日本が攻撃されていなくても、アメリカが攻撃されたら相手国を攻撃すること)を行使できるようにせよ
・PKOの制約を撤廃し、自衛隊を紛争国に海外派兵できるようにせよ
・アメリカのミサイル開発や体制強化に全面協力せよ
など。
内容は、アメリカのために、日本国民の命や経済を差し出せ、という内政干渉。
アメリカの利益のために日本国民の安全や幸福を侵害するものばかり。
これら要望は、第二次安倍政権以降、際立って忠実に遂行されるようになった。
もはや経団連は日本人ではなく、海外のグローバル資本家に牛耳られている。
【アメリカからの要求は、戦争と戦争ビジネスにロックオンされた】
2000年、アーミテージ・ナイレポートは自衛隊の海外派兵を強く要求。
翌年、政府は自衛隊をインド洋へ初派兵。
3年後、復興支援の名目でイラクへ初の戦地派兵。
その他の主な要求リスト
・制約なく軍事行動ができるようにせよ
・自衛隊を海外派兵できるよう法改正せよ
・軍事費を増額せよ
・武器輸出規制を緩和せよ
アメリカのために戦争できる国に変え、アメリカが武器ビジネスで儲けるために、日本国民の税金を吸い上げられるように制度設計しろということ。
経団連も繰り返し武器輸出解禁を要求。
2002年日米安保フォーラムの共同宣言で、武器規制を外せと要求。
2004年、武器輸出3原則の見直しを要望。
2010年、再要望。
とにかく武器で商売させろ、輸出をさせろと繰り返し。
【野党もアメリカに逆らえない】
近年の立憲民主党や国民民主党は、武器ビジネス関連の法案に反対をしていない。
与野党で連携して武器輸出の緩和を進めている。
集団的自衛権とは、仮に中国がアメリカを攻撃した場合、日本が中国を先制攻撃できるようにすること。
当然、日中間の戦争リスクは増大する。
先制攻撃を可能にするには、憲法の改正が必要。
だが2014年、自民党は閣議決定で憲法解釈を変え、集団的自衛権を強行採決。
【日本を戦争の捨て石にするために】
なぜ、経済団体が憲法改正や、他国を攻撃する権利を求めるのか?
戦争を商売にし、戦争ビジネスを拡大するため。
武器を大量に作る→言い値で売る→戦争の破壊行為によって大量消費する→また武器を大量に作る・・・ この武器商売サイクルを完成させるため。
国の基幹産業が戦争・軍事で、常に戦争を繰り返しているアメリカや、武器で儲けたいグローバル企業と経団連の利害は一致している。
武器の共同開発で日本に出資させ、ライセンスを売りつけ日本国内を「武器工場」化する。
戦争への緊張が高まるだけでも株価は上がり、戦争になればさらに株価は上がり、武器も売れる。
そして米軍は、日本を近年強大化してきた中国の最前線の防波堤にしたいと考えている。
今アメリカは、日本をいざという時の戦争の捨て石にするための体制を整え続けている。
【日本の軍事化が本格起動】
2018年アーミテージ・ナイレポートで、軍事費をGDPの1%以上にしろと具体的指示。
安倍首相は軍事費をGDPを1%以内に抑える考えはないと宣言。
4年後、岸田首相は軍事費をGDPの2%にすると表明。
2018年と2020年、アメリカは武器の共同開発を繰り返し要求。
岸田は全て要求通りにすると回答。
【セキュリティクリアランス法案について】
2018年と2020年のアメリカは、ファイブアイズへの参加のため、早急なセキュリティ保護策構築しろと命令。
ファイブアイズとは、米、英、豪、カナダ、ニュージーランド5カ国による機密情報共有の枠組み。
中国の強大化への警戒が背景にある。
3年後、日本政府はセキュリティークリアランス法案を提言、法案提出。
現在審議している。
【今、政治家たちは最後の草刈り場として国を差し出そうとしている】
名誉白人になりたい、西欧と肩を並べたい欲望から欧米諸国の「パシリ」を続ける日本。
でもどこまでいっても、植民地は植民地。利用されるだけでリスペクトはない。
戦後アメリカは一貫して日本をアメリカの世界戦略に利用してきた。
過去の密約で、アメリカの有事に自衛隊がアメリカの指揮下に入ることは決定済。
国会ではそうではないと答弁しているが、ごまかすのはもうやめるべきだ。
1954年、アリソンと吉田茂の会談で、有事の際にはアメリカの指揮下で日本の軍事力を使用することが確認された公文書がアメリカで公開されている。
1954年の会談の半年後、自衛隊が創設された。
【戦争特需をあえて終わらせない】
パレスチナ戦争もウクライナ戦争も、アメリカが本気を出せば止められるが、止めようとはしない。
自国民は安全に、武器だけを提供し続ける。
戦争で儲け続けたいから。
2023年のアメリカの武器輸出は、過去最高額を記録。
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敗戦した日本は、植民地としてアメリカの圧力を戦後常に受け続けたが、面従腹背の精神は、政治家においても官僚においても、いつの間にか「アメリカの要求を遂行することで出世も保身も安泰」という文脈に変容していった。
第二次安倍政権では、交渉能力もなく、アメリカとグローバル資本家の要求を丸のみすることで、安倍首相は戦後最長政権の総理大臣になった。
菅、岸田もこれにならった。
国民の声を無視し、正常なプロセスを経ず、やりたいことはなんでも強行採決か閣議決定で決めてしまう国になった。
今、国の衰退は、深刻なレベルに至った。
貧しく、貧富の差が固定化され、自己責任論の蔓延する希望のない国になっただけではなく、今、戦争への懸念が現実に迫っている。
異論を封じ、無理な増税をしてまで国の富を軍事につぎ込み、戦争する国に向かっている。
上記の総括を見ると、アーミテージ・ナイレポートの要望は、基本的に3年後に日本政府によって実現されてきているのが分かる。
2024年4月4日、最新のレポートが発表された。
2027年のこの国は、どんな国になっているんだろうか。