夜半から強い雨風。
ちょっと怖いくらいの勢いで、このところ雨が少なかったので、せいせいとした思いで眺めていた。
未明にふと目が覚めたら、ベッドの端っこにぎゅーぎゅーに追いやられながら、末っ子に腹回りをプロレスの技的に両足で挟まれた状態であった。
普段から体の一部を私にくっつけて眠りたい、さらに嵐が怖くていつも以上に密着したいがためにこのような体勢になったと思われる。
私はいつも超狭いベッドに寝ているみたい、起き抜けはいつも節々が痛い。
トイレに行きたくなって、そろりそろりと末っ子の足を外すと、ごろりと仰向けになって小さないびきをかいている。自由だのう。
1Fのリビングに降りると、すぐにいないことがばれ、末っ子がベソかきながら降りてきた。
外は雨は止んだけど風はごうごうと強く、空は不穏に赤みがかっている。
部屋着のまま、ふたりで手を繋いで近所をぐるりとひと歩きした。
薄暗い中、すごい勢いで木や電線が揺れているから、末っ子は、怖いーと言いながら、途中何度か立ち止まって私の足に抱きつく。
ぼーっとして何も考えず、ただ風に吹かれて、心細いような心強いような心持ちで、小さな子と手を握り合って夜明け前に立っていた。
死ぬ前に、人は人生の走馬灯を見ると言うが、一体どんなものが見えるだろうという素朴な興味がある。
今日の夜明けみたいな景色が見えるといいなと思った。