働いている農園のオーナーから「空いているスペースを使って家庭菜園をやってもいいですよ」と、以前から言ってもらっていて、やりたいなあとは思っていた。
職場にもだいぶ慣れて余裕も出てきたので、やってみたいんですけどと申し出たら、数カ所スペースを提案してくれた。

その中で選んだのがここ。
トマトハウスの裏手にあるデッドスペースで、西側が傾斜になっているものの、まっすぐ南北に畝立てができる。
日当たりと風通しは申し分なく、西側が全面ひらけて遠くの山々まで見渡せる。素晴らしい眺望。
小学校の頃、校舎や体育館の裏なんかの人目につかない奥まったスペースが無性に好きだった。
ここに小さなテーブルと椅子を持ち込んで、こつこつ人知れず、こつこつ農作業しながらお茶するとか、うー最高だ。
長年放置されて草がぼうぼうに茂っているが、雑草をチェックすると、コセンダングサやクズなんかもあるけれど、イネ科の植物やスギナなどは生えておらず、ホトケノザも群生している。
何より踏みしめた土がとってもフカフカしている。
少々乾き気味だけど、色も黒くて堆肥化している。
「通路にトラクター入れるから、トラクターで一気に耕しちゃってもいいですよ。
誰かが管理してくれるとこっちも助かります」
と、あくまで親切なオーナー。
いやいや、耕すのはもったいない!
ここで自然農法で畑をやりたい。
ちょうど真冬で、ゆっくり土づくりの準備ができるタイミングなのもありがたい。
「ここにしますー」と即答した。
これから、仕事上がりや昼休憩の合間にちょっとずつここを畑にしていこうと思う。
私だけのちっちゃな裏庭。
最高の遊び場をプレゼントしてもらった気持ち。
昨日の仕事あがりに、土のチェックがてら、自前の鎌でちょちょっと草を刈ってみたが、草の根っこがまあまあ手強かった。
ので、近々職場の仮払機で上の部分を一気にきれいにしてしまおうと決める。
思えば、私には「自分だけの場所」がずっとなかった。
家族のそれぞれ、家の中に自分の部屋を持っているのに、私にはなかった。
「キッチンがあなたの居場所でしょ」てな感じで。
私の私物はリビングや息子の部屋の片隅に分散しておいてあり、自分のデスクは寝室の一角にある。
私はヴァージニア・ウルフみたいに小説を書いているわけでも経済的に自立できるほどの稼ぎがあるわけでもないけれど、安心できる「自分ひとりの部屋」が欲しい、と心の奥底で思い続けていたように思う。
だからこのところ、ちょっとわくわくしている。