みずうみ2023

暮らしの中で出会った言葉や考えの記録

「"Sr." ロバート・ダウニー・シニアの生涯」

ロバート・ダウニー・Jr.も出演、ロバート・ダウニー・シニア ...

2022年アメリカ/原題:Sr./監督:クリス・スミス/90分/2022年12/2〜配信

ロバート・ダウニー・Jr.は好きな俳優。すごく上手い人なのに、技量を堪能できるような作品にあんまり出なくて、もったいないことだと常々思っている。

それでもあのこじらせぶりを含めた存在感はやっぱりチャーミングで、彼のインタビューなどを見つけると、ついいそいそと見入ってしまう。

この父子のドキュメンタリーもすごく楽しみに見た。

シニアの作品は見たことないけど、独特で個性の強い作品をいくつも作った変わり者の映画監督であることは知っていた。

 

シニアは、最初おじいさんだからこんなに泰然としているのかと思ったが、昔の映像を見ても若い頃から超然とした人だった。

誰にどう思われるとか、売れる売れないとかに頓着せず、「面白いじゃん」だけでどんどん突き進む。自由で、超個性的。モラルの感覚もどこかぶっ壊れている。

いきがったり鬼才ぶったりとか一切ないのに、やばいくらいにロックな人である。

この父親は、息子にとってはたまらない存在だろうなと思う。

あまりに格好良すぎて、あまりに唯一無二すぎて、近づけないし超えられないってなるだろう。

ポール・トーマス・アンダーソンがシニアにかけねなしのリスペクト(というか普通に大ファン)を捧げているさまにもにっこりしたが、それにもJr.はひがんで「父は息子がPTAだったらと思っていたに違いない」と言っていた。

 

ロバート・ダウニー・Jr.は、映画の現場でパパと一緒にいられるから、たまたま才能もあって、パパや大人たちに褒められるのが嬉しくて、子役として映画の世界に入り、そのまま俳優人生になった。

彼の、成功や名誉みたいなものに頓着しない独特の飄々とした雰囲気、すごく容貌にも才能にも恵まれているのにどこか自分を低く見てるようなあの雰囲気が、この映画を見てると少し分かるような気がした。

これは、息子から父へのラブレターみたいな映画。